ソフトウェアエンジニアが CIID の IDP コース(21週目)に参加して学んだことをゆるりと共有します。今週(7/20~7/24)は都市計画に人間中心設計(HCD)を取り入れる授業でした。デザイン対象がかなり大きいので、どのようにデザインするか学ぶのが楽しかったです。
20週目の記事もあるので良かったら読んでみてください。
Day 91: Get your brief
この日は、都市のデザインについて簡単に説明を受けました。そして、チームに別れて、チーム作業でした。今回の授業は、自分たちの今の住んでる街の課題を見つけて解決するというスタイルでした。この章では、まずどのように課題を見つけるのかを教わったので、それを共有しようと思います。
Walk around yourself
まず、街とは単なる居住エリアではなくてコミュニティーの存在する場所だと教わります。そして、そのコミュニティーは主に4つの理由で集まると教わりました。それは「To learn(学ぶため)」「To protest(講義するため)」「To nourish(養うため)」「To create(創るため)」です。まずは、都市をデザインする際にはこの4つの理由を軸にコミュニティーを特定することを教わりました。そして、都市の問題を見つけるために、下記の言葉を紹介されました。
“A city is a language, a repository of possibilities, and walking is the act of speaking that language.”- Rebecca Solnit
この言葉は、「都市は言語であり、歩くことはその言語を話すことである」という意味です。これは非常に面白いなと思いました。僕も何気なく街を散歩していましたが、たしかに日本にいた時とコスタリカにいる時では歩き方が異なっています。パッと思いつく限りで言うと、日本にいた時は、そんなに注意深く道を見ながら歩くことはなかったと思います。なぜなら、日本は道が綺麗に舗装されていて、ゴミも少ないです。一方で、コスタリカは道がガタガタで、たまにマンホールの蓋がないような穴が空いています。更に、ゴミや犬の糞などが散乱しています。なので、注意深く道路を見ていないと転んだり、糞を踏んだりと大変なことになります。この日は、まずは外を散歩してドキュメントすることが最初の宿題でした。なので、僕は GoPro を頭に装着して、いつもの買い物コースを歩いてみました。その動画を一部 Youtubeにあげたので共有します。
散歩の後にチームで集まって、ブレインストーミングを行いました。まだ抽象度は高いですが、僕たちのチームは3つの課題を取り上げています。まだストーリーボードもボディーストーミングもしていないので、変更する可能性がまだまだ高いです。ですが、この段階のアウトプットを載せておきます。僕は個人的には、建物が低く、丘の多いサンホセは遠くの風景が見渡せて面白いなと思いっていました。
Day 92: Get your problem statement
この日は、基本的にチームに別れて前日に作った3つの課題の練度をあげる日でした。デザイン対象が大きくどのように取り扱うかが難しく感じました。ただ、いつも通りに時間を区切ってブレインストーミングして、みんなで話して絞り込んで行くというように対応しました。この章では、その様子を簡単に共有しようと思います。特に新しいことがないので読み飛ばして大丈夫です!
Let’s timebox and vote!
CIID の授業が始まって5ヶ月程経ちましたが、徐々に抽象度の高い問題に対する対処法が板について来たと思います。今回の都市計画のような分野は、取っ掛かりも難しく、アウトプットもとても大きくなります。僕の経験上、議論がとても長くなりやすいと思います。CIID でもそういう課題を何度もデザインしてきました。その時にかなり有用なのが Timebox(制限時間)と Vote(多数決)です。多数決が常に正しいとは限りませんが、議論を前に進めない限り新たな学びはないです。そういう点で、制限時間と多数決は、議論を常に前進させるために強力なツールです。そして、プロトタイプして得た新たな学びをもとに、再び議論をします。
僕たちのチームもまさにこのプロセスに基づいて、この日の議論を行いました。まず、僕たちのチームは何をしたら良いのか分からなかったので、とりあえずデスクリサーチでそれぞれのポテンシャルを探りました。その際に30分の制限時間を設けて行っていました。下記の写真がそのデスクリサーチの結果です。
その後に、チーム内でそれぞれ5分で自分のリサーチ結果を共有して、多数決を取りました。結果、今回は「Game」が僕たちの課題の領域になりました。そして、更に「街でできるゲーム」をお題にして、10分でブレインストーミングを行いました。この際は、少しフィデリティをあげてスケッチで行います。下記の写真がそのブレインストーミングの結果です。
その後に、同様に共有して、多数決を取りました。その結果、「影を使ったゲーム」が選ばれました。この日は、ここまでで終わりました。今回はプロトタイプする対象が大きいので、いきなり何かを作り出すのではなくて、実際に翌日にボディーストーミングしてみようとなりました。このボディーストーミングが、一番 Low-Fi なプロトタイプです。
このように、議論だけに集中せずに、制限時間内に手を動かしたり、調べたりして、話すだけでなく敢えて違った五感を使うようにして議論を前進させて行きました。記事を見る限りは1時間ぐらいで終わってるように見えますが、合間に講師からのレクチャーがあったりフィードバックがあったりしたので、結局4時間ぐらいかかったと思います。ただ、4時間で終わるのも、コースの初期と比べるとだいぶ進歩したなと感じております。笑
Day 93: Polish your problem statement
この日は、都市計画のフレームワークについて簡単に説明されました。その後に、それを踏まえて自分たちの Problem statement を修正して行く予定でしたが、コロナの拡大がひどくなって外出自粛になってしまいました。(ボディーストーミングする予定だったのに苦労しました。。。)この章では、説明された都市計画のフレームワークについて共有しようと思います。
Urban design frameworks
1つ目は、インドの建築家の Rahul Mehotra による「静的な」都市ではなく、「運動的な」都市のためのデザインのコンセプトです。下記にリンクを載せておきます。
これは、このコロナの状況を管理するために必要な柔軟性と適応性に特に関連するフレームワークだと説明されました。簡単に要約すると、今は常に一定のコミュニティーや空間を維持する時代ではなく、流動的で、適応可能で、断続的な変化が起きる時代です。なので、それを念頭に、現状に合わせた街づくりではなく、変化に耐えうる街づくりまたは、再構築しやすい街づくりをするという考え方です。(長いので流し読みですが、たぶん合ってます。。。)
2つ目は、「Borders」と「Boundaries」の概念です。これは都市社会学者の Richard Sennett が何十年にもわたって開発してきたものです。下記にリンクを載せておきます。
上記の PDF では、「Borders」は、都市の中にあるアクティブな多孔質の膜のようなもので、公園や近所の縁、建物の外壁などです。一方、「Boundaries」は、横断したり通過したりすることができない硬い縁です。Sennett の説明では、「Boundaries」は川から反射ガラスのオフィスビルまで、何でもあり得ると説明しています。要約すると、「Boundaries」で「外」と「内」を隔て、「Borders」で都市機能を明確化するということです。(難しいので確証がないですが。。。)興味がある人は、下記に Youtube のリンクを載せておくので見て下さい。
この日に都市計画のフレームワークを共有されて、いろいろ調べながら本記事を書いてますが、相当難しいと感じました。(フレームワークというよりは論文という感じでしたが。。。)やはり、都市のように大きくステークホルダーの多いような対象のデザインは複雑になりやすいなと感じました。
Day 94: Make prototype
この日は、前日までに考えてきたコンセプトを形にして、翌日の発表に備える日でした。僕たちのチームのプロトタイプはビデオになりました。デザインの対象自体がとても大きいので、ビデオになるのもやむ無しだったと思います。この章では、インタビューをして感じたことを共有しようと思います。
Go interview and get inspirations
この日は、改めてインタビューの強力さを感じた日でした。前日まで、都市やコミュニティーのデザインということで、チームの意見がとてもふわふわしていました。更に、自分たちの手元にあるコンセプトが、自分たちの想像だけでできているということになんとなく不安がありました。そこで、この日はチームがデザインしようとしているエリアに住んでいるクラスメートにインタビューを行いました。5, 6週目に教わった程ガッツリ準備せずに、30分ほどで「何を聞くべきか?」というのをブレインストーミングして、多数決して5問の質問を用意しました。5, 6週目の記事を下記に載せておきます。
インタビューが終わった後は、自分たちのフォーカスするポイントがかなり明確になっていました。やはり、当事者から話を聞いて、自分たちの仮説に意見をもらうと、物事の優先順位がはっきりすると思いました。具体的には、当初僕たちが設定していたユーザーは「若い働いている人」でした。なぜなら、そのエリアではちょっと高いバーやレストランが多く、気軽に子供や学生が行ける場所ではないと思っていました。しかし、クラスメートの話では、最近家族用のマンションが増えていて、家族で住んでいる人が増えているということでした。そして、彼女は「子供がどこで遊んでるのか不思議でならない」と言っていました。これこそ僕たちが求めていたインスピレーションでした。そして、インタビューが終わった後に、ユーザーを「若い働いている人」から「家族」に変更して、ストーリーとプロトタイプを作りました。
今までも散々インタビューをやってきましたが、改めてインタビューの強力さを感じました。問題が大きく、自分が対象でないデザインの場合はすぐに仮説を当事者に話を聞きに行くの良いなと感じました。さもなければ、ずっとモヤモヤしたまま、寄る辺もなく議論をするしかなくなってしまいます。(前日の夜がまさにそんか感覚でした。笑)これからも、難しい問題程、サクッとまとめて当事者にフィードバックを求めることを肝に銘じました。
Day 95: Presentation
この日は今週のプロジェクトの発表の日でした。僕たちは「Urban Aquarium」という「街の中の水族館」をコンセプトにプロトタイプを考えました。その簡単なビデオと発表資料を共有します。
今回は初めての街のデザインとあって、対象が大きくとても苦労しました。最後の発表のレビューでも、「もっと他の Street games を調べたら違ったインサイトがあったんじゃないか?」や「もっと具体的な根拠を集めた方が良い」「誰が運営していくのか?」など、大きい問題だからこそ、より具体的な根拠とリサーチがをもとにしてデザインを発展していけばよかったかなと振り返りました。そして、その場合でも、やはりインタビューや Tangible というのがかなりチームのアイディアをシャープにしてくれたと思っています。今までプロダクトという小さい物をデザインしていたので、とても面白い頭の体操になったと思います。
コスタリカでもコロナ感染者数が激増しているので、来週から完全なフルリモートになってしましました。フルリモートでも、インタビューや Tangible をどうやって実現していくかがとても大事な学びかなと思います。
22週目の記事もあるので良かったら読んでみてください。